JavaScriptにおいてvar
変数は関数スコープ(function scope)です。これは変数がブロックスコープ(blocked scope)である他の多くの言語(C#/Javaなど)とは異なります。もしあなたがブロックスコープの考え方で以下のJavaScriptのコードを見ると、123
を表示すると考えるでしょうが、そうではなく、456
が表示されます。
var foo = 123;
if (true) {
var foo = 456;
}
console.log(foo); // 456
これは{
が新しい変数スコープ(variable scope)を作成しないためです。 変数foo
はifブロックの内側にあっても外側にあっても同じです。これは、JavaScriptのプログラミングにおける一般的なエラーの原因です。そのため、TypeScript(とES6)はlet
キーワードを導入して真のブロックスコープ(block scoped)の変数を定義できるようにしています。つまり、var
の代わりにlet
を使うと、スコープの外側で定義されているかもしれない変数とは異なる、真にユニークな変数を得ることができます。先ほどと同じ例をlet
で示します:
let foo = 123;
if (true) {
let foo = 456;
}
console.log(foo); // 123
let
がエラーから守ってくれる他の場所は、繰り返しです。
var index = 0;
var array = [1, 2, 3];
for (let index = 0; index < array.length; index++) {
console.log(array[index]);
}
console.log(index); // 0
間違いなく、可能なときはいつでもlet
を使うべきです。そのほうが新しい開発者や他の言語での開発者にとって直感的です。
これまで述べてきた、JavaScriptの関数が新しい変数スコープを作成することを例で示します。次のコードについて、考えてみてください。
var foo = 123;
function test() {
var foo = 456;
}
test();
console.log(foo); // 123
これは期待通りに動作します。これがなければ、JavaScriptでコードを書くのは至難でしょう。
TypeScriptによって生成されたJSは、同じ名前のlet
変数が既に周囲のスコープに存在する場合は、単純に変数名を変更します。let
変数の単純な名前変更です。例えば、次の例は単純に、let
をvar
に置き換えるだけです。
if (true) {
let foo = 123;
}
// becomes //
if (true) {
var foo = 123;
}
しかし、変数名が既に周囲のスコープによって捕捉されている場合、次のように新しい変数名が生成されます(_foo
に注目)。
var foo = '123';
if (true) {
let foo = 123;
}
// becomes //
var foo = '123';
if (true) {
var _foo = 123; // Renamed
}
case
文の本体(body)を{}
で囲んで、異なるcase
文で変数名を安全に再利用することができます:
switch (name) {
case 'x': {
let x = 5;
// ...
break;
}
case 'y': {
let x = 10;
// ...
break;
}
}
一般的にJavaScriptのDeveloperに対して面接で質問されるのは、次のような単純なプログラムが、「何をログに表示するか?」です:
var funcs = [];
// create a bunch of functions
for (var i = 0; i < 3; i++) {
funcs.push(function() {
console.log(i);
})
}
// call them
for (var j = 0; j < 3; j++) {
funcs[j]();
}
ある人は0,1,2
であると予測したでしょう。意外なことに、3つの関数はすべて「3」を表示します。理由は、3つの関数すべて外側のスコープの変数i
を使用しており、それらを実行するときに(第2のループで)i
の値が3
だからです(これは最初のループの終了条件です)。
修正方法のひとつは、ループごとに、その反復(iteration)だけの変数スコープを新しく作ることです。既に学んだことですが、下記に示すように、新しい関数を作成し、ただちに実行することで新しい変数スコープを作成できます(IIFEパターンです (function(){/ * body * /})();
)。
var funcs = [];
// create a bunch of functions
for (var i = 0; i < 3; i++) {
(function() {
var local = i;
funcs.push(function() {
console.log(local);
})
})();
}
// call them
for (var j = 0; j < 3; j++) {
funcs[j]();
}
ここで関数は_local_変数(わかりやすくlocal
と命名しました)を閉じ込めて(それゆえにclosure
と呼ばれます)、ループ変数i
の代わりに使用します。
クロージャはパフォーマンスに影響を与えます(周囲のスコープの状態を保存する必要があるためです)。
ループ内のES6のlet
キーワードは、前に示した例とまったく同じ振る舞いをします。
var funcs = [];
// create a bunch of functions
for (let i = 0; i < 3; i++) { // Note the use of let
funcs.push(function() {
console.log(i);
})
}
// call them
for (var j = 0; j < 3; j++) {
funcs[j]();
}
var
の代わりにlet
を使うと、各ループ反復(iteration)に固有の変数i
が作られます。
let
は、コードの大部分で非常に役立ちます。コードの可読性を大幅に改善し、プログラミング誤りが発生する可能性を減らします。