- Author : Toshihiro Kamishima
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ここに示した事項以外で注意すべき点については ★ 印を付ける.
講演者のPCの映像を,HDMI端子から出して,他のPCに取り込む場合に,HDCP (High-Bandwidth Digital Content Protection) という著作権保護機構が問題になる.Macや,一部のWindowsでは,画面で再生した映画などが録画されないようにこのHDCPが働く.そのため,HDMIキャプチャーを使って運営者PCで,講演者PCの画面を取り込めない.
UAC (USB Audio Class) を通じて,USBマイクや,USBオーディオインタフェースをWindowsで音声を取り込むときに,専用のドライバが必要になる場合がある.UACのバージョン1なら使えるとの情報もあるが,経験上はドライバが必要になるWindowsPCが多く,音声を取り込めない事態がよくある.
会場のマイク音声が,全てミックスされた信号が取り出せない場合は,会場用と配信用に二つのマイクに向かって講演する必要が生じる.
遠隔講演者の音声を会場で出力するために,PCの音声出力を,会場のスピーカー出力できる必要になる.これができない場合は,小型のアンプ付きスピーカーを使うことになるが,大きな会場では無理.
ケーブルの長さの制約のため,会場で機器間の接続ができないというトラブル生じる.
- HDMIは規格上は長さ制限はないが,パッシブだと10mぐらいでも厳しい.
- USBで伝送するとき,フルHDだとUSB3.2Gen1以上必要らしく,Type-Cだと2mが規格の上限.それ以上はアクティブケーブルを伝送に使う必要.
- 一番長く伝送するならXLR/キャノンケーブルであれば,規格はないが50mとかでも大丈夫らしいです.
- USBケーブルはUSB 2.0で伝送できるので5mが規格上限
- 6.3mm標準ジャック/3.5mmミニジャックのケーブルだと5mあたりにした方が無難
講演者が,自身のPCで音のあるデモやビデオ再生を行うときは,そのPCの音を配信用のPCに入力できる必要がある.
※ 太字のものは必須で,その他のものは場合によっては必要になる.
- 遠隔の講演者
- 映像:発表資料
- 映像:発表者自身の映像
- 音声:発表者の発話
- 音声:発表者PC音声(PC上のデモや,再生したビデオの音声)
- 会場の講演者
- 映像:発表資料
- 映像:講演者自身の映像
- 音声:発表者の発話
- 音声:発表者PC音声(PC上のデモや,再生したビデオの音声)
- 会場その他
- 映像:司会者資料(セッションの説明など)
- 映像:休憩時間映像(セッションの内容や時刻を放映)
- 音声:司会者の発話
- 音声:質問者の発話
- 会場への映像・音声出力
- 映像:会場映像(会場発表者の発表資料など)
- 映像:配信映像(遠隔発表者の発表資料など)
- 音声:会場音声(会場発表者・司会者・質問者音声など)
- 音声:配信音声(配信されている遠隔発表者発話・遠隔質問者発話,遠隔発表者PC音声など)
- 遠隔からの講演は,物理会場のないオンラインのみの講演を行うのと差はない.そのため,遠隔講演者が自身で自身の配信環境を整備するため,運営者側はオンライン会議の環境を提供する以外に,特に準備すべき事柄はない.
- 発表者と聴講者の権限に差があるWebinarなどの場合には,セッションの開始前に発表者権限を与えておくこと.権限が与えられていない場合,発話や画面共有ができない.
- 発表者のスライドなどは画面共有で行う.★共有できない場合は,運者が共有を許可していないか,前の講演者の画面共有を修了しているかを確認.
- 発表者PCの音声を配信する場合は,★Zoomでは画面共有のときのオプションにPCの音声も共有するかの項目があるかを確認.
- 遠隔の質問は,全員が発言できる会議形式のときは音声で,発表者のみ発言できるWebinarの場合は,オンライン会議の質問機能や,sli.doやSlackなどの外部サービスを併用する.
物理会場からの配信では,(1) 発表者・運営者PCを共有する場合と,(2)発表者PCと運営者PCを分離する場合の2通りがある.(2)の場合は映像や音声をどのように配信するかにさらに分けられる
- (1) 発表者PCと運営者PCを共有する
- 配信PC=発表者PC,発表者音声=発表者PC,司会・質問者音声=発表者PC
- (2A) 発表者PCと運営者PCを分離し,発表者PCから講演資料を配信
- 配信PC=発表者PC,発表者音声=発表者PC,司会・質問者音声=運営者PC/発表者PC
- (2B) 発表者PCと運営者PCを分離し,運営者PCから講演資料を配信
- 配信PC=運営者PC,発表者音声=運営者PC,司会・質問者音声=運営者PC
- (1) 発表者PCと運営者PCを共有する
- ○ 必要になる機材が少なく,準備するPCが1台で済む
- ○ 設定が最も容易
- × 発表者が自身のPCを講演に利用できない
- × 共用PCで発表資料を表示する必要があり,発表資料のフォーマットに制限
- × 発表者,運営者,質問者のマイクを共有する場合は,運営者も質問者も発表者の位置まで移動する必要がある
- × 発表者,運営者,質問者の音声が同じアカウントから配信される
- × プレゼンソフトやデモによるクラッシュが配信環境に影響する
- × 発表者PCが,講演と配信の同時負荷に耐えられない場合がある
- (2A) 発表者PCと運営者PCを分離し,発表者PCから講演資料を配信
- ○ 発表者が自身のPCを利用できる
- × 発表者の交代時に設定が多い
- × 映像と音声が異なるアカウントから配信される
- × 発表者がそれぞれオンライン会議システムに接続可能である必要
- × 発表者PCが,講演と配信の同時負荷に耐えられない場合がある
- (2B) 発表者PCと運営者PCを分離し,運営者PCから講演資料を配信
- ○ 発表者が自身のPCを利用できる
- ○ 発表者PC設定事項が少ない
- ○ OBSを使った複雑な画面構成や配信が可能になる
- × 発表者の講演資料の映像がアナログになる
- × 必要な機材が多い
- 配信
- 発表者PCで,配信サービスにログイン
- 発表者・運営者でアカウントを共有して,全ての映像・音声はこのアカウントから配信
- 発表資料
- 発表者PCの画面共有で配信
- 講演者自身の映像
- 発表者PCの内蔵カメラ,もしくは発表者PCに接続したカメラで撮影し配信サービスへ
- 発表者の発話
- a) 発表者PCの内蔵マイク → 音が悪い,会場用と2本マイクになる
- b) 発表者PCに接続したマイク → 会場用と2本マイクになる
- c) 会場内音声の分岐を発表者PCに入力 → 会場の設備が整っていれば最良の選択
- 発表者PC音声(PC上のデモや,再生したビデオの音声)
- 発表者PCの画面共有時にPC音声も共有する
- 司会者資料(セッションの説明など)
- 発表者PCの画面共有で配信
- 休憩時間映像(セッションの内容や時刻を放映)
- 発表者PCの画面共有で配信
- 司会者の発話
- 発表者の発話と同じ方法で配信
- マイクを発表者と分けるときは,発表者の発話音声とミックスできるソフトか機器が必要
- 質問者の発話
- 発表者の発話と同じ方法で配信
- マイクを発表者と分けるときは,発表者の発話音声とミックスできるソフトか機器が必要
- 会場映像(会場発表者の発表資料など)
- 発表者PCの画面をプロジェクタで出力
- 配信映像(遠隔発表者の発表資料など)
- 遠隔講演者が共有した映像を発表者PCで表示し,その画面をプロジェクタで出力
- 会場音声(会場発表者・司会者・質問者音声など)
- 発表者の発話が a や b の場合は,別のマイクを準備して,会場の音響設備から出力
- 発表者は二つのマイクに向かって発話することになる
- 発表者の発話が c の場合は,すでに会場の音響設備から発話されている
- 発表者の発話が a や b の場合は,別のマイクを準備して,会場の音響設備から出力
- 配信音声(配信されている遠隔発表者発話・遠隔質問者発話,遠隔発表者PC音声など)
- 発表者PCの音声出力を,会場の音響設備から出力.
- 配信
- 講演資料は発表者PCから発表者のアカウントを通じて配信
- 発表者の発話は発表者PCか運営者PCのいずれかから,それぞれのアカウントを通じて配信
- 発表資料
- 発表者PCの画面共有で配信
- 講演者自身の映像
- 発表者PCの内蔵カメラ,もしくは発表者PCに接続したカメラで撮影し配信サービスへ
- 発表者の発話
- a) 発表者PCの内蔵マイク → 音が悪い,会場用と2本マイクになる
- b) 発表者PCに接続したマイク → Windowsのドライバが問題になる,会場用と2本マイクになる
- c) 運営者PCに接続したマイク → 会場用と2本マイクになる,発表者までのケーブル長に注意
- d) 会場内音声の分岐を運営者PCに入力 → 会場の設備が整っていれば最良の選択
- 発表者PC音声
- 発表者PCの画面共有時にPC音声も共有する
- 司会者資料
- 運営者PCの画面共有で配信
- 休憩時間映像
- 運営者PCの画面共有で配信
- 司会者の発話
- e) 運営者PCに接続したマイク → 会場用と2本マイクになる,ソフトかハードのミキサーが必要
- f) 会場内音声の分岐を運営者PCに入力 → 会場の設備が整っていれば最良の選択
- 質問者の発話
- 司会者の発話が e の場合 → 司会者とマイクを共用
- 司会者の発話が f の場合 → 会場内のマイクから入力できる
- 会場映像
- 発表者PCの画面をプロジェクタで出力 → 配信映像を出力するときに映像ケーブルを繋ぎ替える必要
- 運営者PCの画面をプロジェクタで出力 → 会議システムの画面を映すので遅延が出ることがある
- 配信映像
- 運営者PCの画面をプロジェクタで出力
- 会場音声
- 発表者の発話が a,b,または c の場合は,別のマイクを準備して,会場の音響設備から出力
- 発表者は二つのマイクに向かって発話することになる
- 発表者の発話が d の場合は,すでに会場の音響設備から発話されている
- 発表者の発話が a,b,または c の場合は,別のマイクを準備して,会場の音響設備から出力
- 配信音声
- 運営者PCの音声出力を,会場の音響設備から出力.
- 配信
- 運営者PCから運営者のアカウントを通じて配信
- 発表資料
- a) HDMIキャプチャで運営者PCに入力 → 全ての発表者PCのHDMIがHDCPがあっても出力可能である必要
- b) HDMIをVGAなどアナログ変換して運営者PCに入力 → アナログ変換で映像が劣化
- c) カメラでスクリーンを撮影して運営者PCに入力 → アナログ変換で映像が劣化,スクリーン前の発表者やレーザーポインタも配信できる
- 講演者自身の映像
- カメラで撮影し,運営者PCに入力
- 発表者の発話
- d) 運営者PCに接続したマイク → 会場用と2本マイクになる,発表者までのケーブル長に注意
- e) 会場内音声の分岐を運営者PCに入力 → 会場の設備が整っていれば最良の選択
- 発表者PC音声
- 発表者PCの外部音声出力を運営者PCに入力
- 司会者資料
- 運営者PCの画面を共有
- 休憩時間映像
- 運営者PCの画面を共有
- 司会者の発話
- f) 運営者PCに接続したマイク → 会場用と2本マイクになる,ソフトかハードのミキサーが必要
- g) 会場内音声の分岐を運営者PCに入力 → 会場の設備が整っていれば最良の選択
- 質問者の発話
- 司会者の発話が f の場合 → 司会者の発話と共有
- 司会者の発話が g の場合 → 会場の設備が整っていれば最良の選択
- 会場映像
- 発表資料が a か b の場合 → 運営者PCの画面をプロジェクタに出力
- 発表資料が c の場合 → 発表者PCの画面をプロジェクタに出力
- 配信映像
- 運営者PCの画面をプロジェクタで出力
- 会場音声
- 発表者の発話が a の場合 → 別のマイクを準備して,会場の音響設備から出力
- 発表者は二つのマイクに向かって発話することになる
- 発表者の発話が b の場合は,すでに会場の音響設備から発話されている
- 発表者の発話が a の場合 → 別のマイクを準備して,会場の音響設備から出力
- 配信音声
- 運営者PCの音声出力を,会場の音響設備から出力.
- カラオケ形式のマイクはハンドマイクという
- 会議場にある細くて,先端に小さな丸い部分があるマイクはグースネックマイクという
- ピンマイクは,音響機器店ではラベリアマイクと呼ばれている
- 演台上に置く平らなマイクはバウンダリーマイクという
- ★重量の軽いものは打鍵音を拾う
- ダイナミックマイクとコンデンサーマイクとがある
- ダイナミックの方が小さな音を拾いにくい
- 稼働部分が繊細なので,叩くのは厳禁
- コンデンサーマイクの方が感度がいいが,48Vとかのファンタム電源を供給できる必要がある.
- PCに信号を取り込むにはUSBオーディオインタフェースが必要になる
- ピンジャックより,キャノンコネクタののの方がケーブルを長く伸ばせる
- ★ステレオピンジャックのもので,プラグインパワーという電源供給規格に対応していないと使えないものもある
- ダイナミックマイクとコンデンサーマイクとがある
- PCに直接取り込みが可能
- USB-C から電源を取らないコンデンサーマイクには別途電源が必要なものもある
- ★Windowsではドライバのインストールが必要な場合がある
- 無線で使えるので,ヘッドセットやラベリアマイクで便利
- PCを換えるごとにペアリングが必要
- ★充電が必要で,長い学会だと電池がなくなる
- 音は良くない
- 3ピンでモノラルのケーブル
- ノイズに強く,長く伸ばせて,不意に抜けにくい
- 太い,重い,高価
- フォンジャックともいう
- 形状は同じでも,マイクレベルとラインレベルがあり,後者の方が1000倍ぐらい電圧レベルが高い
- アナログのままなら,マイク→ラインは,ミキサーやプリアンプを,ライン→マイクはアッテネーターなどを使って変換
- ケーブルの長さは5mぐらい,無理しても10mぐらいでやめた方がいいと思う
- 入出力が一緒になった4極プラグは,信号の配置が違うものがあるので注意(OMTP や CTIA で検索)
- ピンジャックで入力するものは,PCによってマイクレベルとラインレベルがあるので注意
- アナログマイクを繋ぎ,DA変換をしてUSBへ出力
- 電源容量の面でも有利だったりするので,USB-C のものの方がよい
- 少なくとも発表者と司会・質問者の二つのマイクは入力できるものを薦める
- コンデンサーマイクを使うときはファンタム電源を供給できるものを選ぶ
- USB-Cではなく,USB-Aからの電源供給では電力不足でファンタム電源が供給できない
- PCが出力する音声とマイクをミキシングするループバックという機能が付いているものがある
- PC内でソフト的にミックスするものや,OBSが使える状況なら,そっちの方が便利
- HDMI,VGA,SDI の映像をUSBを通じて取り込む機器
- USB Video Class (UVC) に対応していないものは止めた方がよい
- 他の配信ソフトと連携できなかったりという制限が生じる
- 4K 対応だと,長時間は熱停止するものがあるので注意
- 変換の遅延時間が長いものは,発話とずれたりするので注意
- UVC に対応した出力のあるものか,HDMI 出力のあるものを選ぶ
- HDMI端子の出力は,カメラが付ける撮影状況などの情報を消せるものである必要
- 長時間使うと,冷却ファンのないものは熱停止するものがある
- カメラ内部でへの時録画は止める
- UVC 主力ではなく,HDMI 出力 + ビデオキャプチャーにする
- 画像の出力を 4K/8K ではなく,HD 画質に留めておく
- 内部電池で時間が足りないときは,USBや外部電源を供給
- OBS (Open Broadcaster Software) は配信を行うソフトの代表
- https://obsproject.com/
- 同様の目的のソフトに XSplit Broadcaster,Ecamm Live,Streamlabs などがある
- 発表資料と講演者を同時に画面に表示したり,複数の音声をミキシングできたりと,凝った配信画面を作成できる
- 講演時間と休憩時間の切り替えなども容易にできる
- 物理デバイスに対応しない,ソフトウェア的なデバイス
- 会議配信が Zoom だと ZoomAudioDevice というので,配信される音声をOBSやソフトウェアミキサーに入力したり,Zoom で音声を配信したりできる
- ソフトウェア的に音声信号をミキシングするソフト
- Zoom から取り込んだ音声と,接続したマイクの音声をミキシングしたりしても,ハウリングを起こさないようにするには必要
- Mac だと Loopback というソフトを薦める https://rogueamoeba.com/loopback/